#175
平成26年10月

私の、ことしの秋
このページは女将が毎月更新して唐津のおみやげ話や
とりとめないオシャベリをお伝えします。
他の方に書いていただくこともあります。



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姫島のおはなし

瓶にさす千草の花の一束をおのがことしの秋と見るかな
野村望東尼



10月ともなりますと、秋の風に誘われてどこかへ旅立ちたいような気がします。
さて、どこへ行きましょうか。

実は長い間気にかかっていた憧れの島があるのです。
洋々閣の裏の浜へ出ますと、真正面の沖合に浮かぶ丸いおだやかな形の島。北原白秋が『唐津小唄』にも『松浦潟』にも歌いこんでいます。その名も美しい「姫島」。福岡県糸島市に属する、人口200人足らずの島です。

幕末の福岡藩の野村望東尼がこの島に流されました。
60歳にもなる望東尼が波荒い玄界灘の島の囚われの小屋で書き綴った日記や歌の数々・・・。上記の歌は姫島でなくそれに先立つ自宅での幽閉のときの歌ですが、外に出られない身が瓶に挿した秋草を見て「自分の今年の秋」と詠んでいるのが胸を打ちます。
唐津にも幕末に活躍した奥村五百子という烈女がいましたが、激動の時代に女性たち(しかも結構な年配です)がこのように激しく身を呈して国のために立ち上がったということが驚きを感じさせます。


 
 姫島にはこの船に乗って渡る
さあ、船に乗って、姫島にわたりましょう。ご案内はいつもの松尾邦久さんです。松尾さんは鏡山山頂の佐用姫茶屋の主で、玄界灘の島々を日々写真に納め、また島の歴史を掘り起こしているかたです。
今回は松尾さんがPDFファイルに作ってくださいました。
私はこれまでワードのファイルからホームページビルダーに移すときには
うまく変えられずにいつも四苦八苦しているのですが、
PDFだとリンクするだけ。助かるなあ~!
それに見た目も美しいし、読んでくださるかたにもいいでしょうね。
さっそくクリックしてお読みください。



 

「野村望東尼と姫島」 松尾邦久



鏡山から見た姫島(左上)
撮影 松尾邦久



みなさん、いかがでしたか?人が島にあこがれるのは、何か原始に根付く深い理由があるような気がします。唐津は海の町。たくさんの島を擁した潮の香り漂う街です。ぜひ、島めぐりにお越しください。
では、また来月。
洋々閣  女将  大河内はるみ  info@yoyokaku.com