#198
平成28年9月

大志小でユカタを着て
このページは女将が毎月更新して
唐津のお土産話やとりとめもない
おしゃべりをさせていただくページです。
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 残暑のなか、お障りなくおすごしでしょうか?
私はもともと悪かった膝が悪化して、杖をついて歩く日々です。トシですからしかたないけどアイタ、アイタ、と掛け声をかけながらロボット歩きで歩いているというていたらくです。お見舞いに何かおいしいものを送ってくださるかたはないものでしょうか?

今回は、高校時代のクラスメート、伊藤登志子さんが原稿をくださいました。どうぞお楽しみください。

 
 
 

平和への道「桜プロジェクト」in ボスニア・ヘルツェゴビナ(BiH

イピル・イピルの会 代表 伊藤登志子

 

サラエボの子供達を「平和の架け橋」として外交樹立20周年を記念し日本へ招待


 

 時の経つのは早いもので、私たちの桜プロジェクトも15年目に入り、寄贈した桜が6都市で美しく咲き始め、日本大使館を経由して他の市から桜の要請があるまでになりました。在BiH日本大使館の小川大使は「桜は何処へ行っても非常に人気がありますね。」と仰って下さいます。

 

 この桜が美しく咲く時期に「平和の大切さ」を次世代の子供に伝えたいと思い、2014年からサラエボ市の協力を得、715才の子供を対象に「平和」を課題にした絵画コンクールを開催して来ました。今年、日本とBiHは外交樹立20周年を迎えます。この節目にイピル・イピルの会は絵画コンクールの入賞者3名と長年お世話になっている当会の現地代表・ヴァイカさんを日本に招聘する計画をし、必要経費を試算確認した上で、昨年の秋より準備を始めました。

 

 小川大使選考中

 準備期間中は招聘に必要な経費の軽減方法を模索し、来日ビザの申請に必要な書類やコンクールの賞品購入準備、サラエボ市への連絡など4月のBiH訪問前にやるべき事が山積みの中、体調を崩し訪問が危惧されましたが何とか訪問。サラエボ、モスタル、ビエリナのみの桜フォローで体力を保ちコンクールを実施する事が出来ました。20周年記念に当たり、小川大使直々に大使賞の作品を選んで下さり選考会場もご提供頂きました415日に招聘する3人が決まり、18日に各学校を訪ね伝達式、表彰式を行い、後は招聘の準備に入るだけとなりました。

 

日本に帰国後、3人の同意を得て航空券やJRパス(外国人を対象とした格安のJRパスで海外の代理店でのみ購入可)を発注し、ヴァイカさんにビザの申請、ハーグ条約に基づく書類(子供が親以外と旅行をする時に必要な両親の同意書を簡易裁判所で承認が必要)の準備などの労を取って頂き、ビザの発給に関しても大使のお力添えを頂き来日が実現しました。

 

成田到着
ジェイラ13歳 ヘナ12歳、ゼリナ12歳
バイカさんとイピル・イピルの会メンバーたち

 一行は629日にサラエボを発ち、30日に成田着。会員数名でお出迎えし再会を喜びました。BiH大使館表敬訪問JICA地球ひろば展示会場訪問と副所長表敬。同館で歓迎会を開き、元在BiH大使のお二人が参加下さり、多くのメンバー達で歓迎が出来た事は大変嬉しい事でした。彼らにとっては全てが初体験づくし。人の親切な事、街が清潔で美しい事、物が盗まれない事、交通機関の素晴らしい事など驚きの連続だったそうです。

 

 三本柳小学校






 翌日から過密の交流訪問移動が始まり、7月1日は新生BiHとして初参加した長野冬季オリンピックの時に一校一国で支援校を務め、昨年より入賞作品展をさせて頂いた三本柳小学校を訪問し全校生徒との交流会で温かくおもてなしを頂きました。

 

 3日目は子供達が楽しみにしていた東京観光。ハチ公、スクランブル交差点、明治神宮、原宿、都庁展望台、お土産等のお買い物! 

 渋谷でハチ公と



夕方はスタッフの手料理で我が家にて歓迎会。楽しい一日を過ごしてくれました。

 

 4日目は九州へ移動日。目的の唐津まで約9時間の旅。新幹線、筑肥線で移動中は時々雨。海に縁の少ない子供達は唐津の海で泳ぐ事を一番の楽しみにしていたので泳げるか心配気。それでも車窓から稲田の美しさや海岸線の眺めを楽しんでいました。電話情報では唐津は晴れ。泳げるとの事。一行に伝えると大喜び。東唐津駅では級友のはるみさんが笑顔で出迎えてくれました。唐津での宿は

 洋々閣でのバーベキュー

「日本の宿を体験させてあげたい」とはるみさんのご厚意で洋々閣にご招待宿泊。とても有難く感謝しています。子供達は宿に着くや否や着替えて海へ。雨で濁った海でしたが大満足。夜は私の級友達と大志小、厳木小の校長先生を交え洋々閣の庭でバーベキュー。はるみさんご配慮の下、メニューも鶏肉、野菜を中心に考えて頂き、お孫さん達が一行をご接待。食後は一緒に花火を楽しんでいました。

 

5日目は絵の展示会で交流の有った大志小学校を訪問。校内の見学、各教室訪問。書道の時間のクラスでは担任のご配慮で3人が校長先生の書いた手本「心」の字に挑戦。絵を描くような感じ

 大志小との交流会

で書き上げていました。6年生との交流の時間は長崎で学んだ原爆と平和についての報告があり、サラエボの子供達にも感想を求められ、リーダーのジェイラさんが「原爆が落とされた事は悲しい経験ですが、その事について私達も学ぶ事が必要。平和は大切な事。」と述べていました。ゲームをして友情を深め皆とハイタッチをしてお別れ。玄関では事務の方々がボスニア語でお別れのカードを掲げ見送って下さいました。

 

 その後、唐津市長を表敬訪問。BiH臨時代理大使の訪問以来の再会。教育委員会委員長の稲葉氏も同席され子供達に日本の感想など沢山質問をされていました。唐津のマスコット「唐ワン」の手拭をお土産にし、大喜び。帰りに売店で唐ワンを購入していました。曳山展示場ではその美しさ、大きさ、曳山が動く事に感嘆。向かいの唐津神社へ。明治神宮で学んだ参拝法で手を清め参拝。唐津城へ。初めてのお城見学。最上階から街並みや海、白砂の海岸、松林を見て「美しい!」

 

 広島原爆ドームにて

 昼食は日本食の定食に挑戦。昼食後は心待ちにしていた海へ。短い時間でしたが日本の海を堪能出来、はるみさんや皆さんの温かいおもてなしに感謝をし、ヘナさん手作りの額縁をお礼に渡し玄関で記念撮影。広島へ向いました。 

 

沢山の「おもてなし」と海を堪能した子供達。日本での素晴らしい思い出を胸に「今までで最高の旅でした!」と76日成田離陸前の感想でした。


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 皆様、いかがでしたでしょうか。伊藤登志子さんは、仲間とともに、ライフワークとして戦争の傷跡の深い地域にサクラを植樹しておられます。ボスニアの各地に日本のサクラが平和への祈りとして根付いていることを喜びに感じます。今回のサラエボの子供たちが大きくなってきっと登志子さんの意思を受け継いでくれることでしょう。私も、ほんの小さなお手伝いをさせていただき、うれしかったです。
 ではまた来月お会いしましょう。




 今月もこのページを訪れてくださってありがとうございました。またお会いしましょう。

                             洋々閣 女将    大河内はるみ

                               mail to: info@yoyokaku.com